アザミの花束を〜第一部〜
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■ジャンル
サスペンス
■男女比率
1:1:2(♂:♀:不)
■所要時間
約20分
■あらすじ
蒼夜は1年前に彼女・陽菜が惨殺されたこよにより復讐を誓った。
陽菜の衣服から銀髪を採取していた蒼夜は陽菜を殺した犯人がネロだとわかる。
両親をネロに殺された親友・空汰と情報屋の森野と共にネロを追っていた。
そして、ついにネロの尻尾をつかむことができた……
■登場人物
蒼夜(そうや):♂
黒髪の澄んだ目をしている爽やかな青年。
彼女・陽菜を殺されてからは澄んだ目は荒み、
ネロを恨み、ネロを追い続けている。
陽菜(ひ な):♀ ※セリフなし
赤髪のツインテールの女子大生。
蒼夜の彼女で1年前に惨殺される。
空汰(くうた):♂(不問)
茶髪で明るい少年のような青年。
蒼夜に子ども扱いされるが頼りにされてる親友。
陽菜とも友達であり、蒼夜のことを慕っていて復讐に協力する。
朱里(しゅり):♀
赤髪の妖艶な感じの女性。
空汰のバイト先で働いている社員さん。
空汰の面倒をよく見て、空汰の事を信頼している。
森野(もりの):♂(不問)
空汰の両親の事件のことも知っていることから、
一緒にネロを追いかけてくれている探偵。
空汰や蒼夜と年齢はそう変わらない。
■声劇コピー用
蒼夜:♂:
空汰:不:
朱里:♀:
森野:不:
■声劇用扉絵
作者:ranaECHO
注意:本画像は【アザミの花束を】を上演する生放送・動画のみで利用を許可します。
それ以外の利用を一切禁じます。
■その他
本ページは生放送用2部構成版(第1部:約20分、第2部:約25分)です。
生放送で上演する場合は、第一部だけで終わらせた場合や第二部だけを実施する場合、
中途半端やさっぱりわからないと思いますので第一部・第二部を分けてやることをお勧めします。
また一括版を生放送で上演する場合は、一括版(45分)を用意していますので、
そちらをご利用下さい。ただし、延長枠が必要になりますので、注意して下さい。
ところどころ()で演技指導のト書きが入っていますが、
無視しても問題ありません。
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第一部
(陽菜の誕生日の帰宅途中)
蒼夜:空汰、今日は陽菜の誕生日プレゼント買うの付き合ってくれてありがとな。
空汰:ううん、いいよー
蒼夜:お前のおかげでいいプレゼントが買えたよ
空汰:蒼夜は彼女の気持ちわからないもんねー
彼氏じゃないボクのほうがよっぽどわかってるよ
蒼夜:(からかうように)空汰は少女趣味だからなぁ
空汰:(拗ねるように)そんなことないよ!
蒼夜:あはは、でも、空汰のおかげでほんと助かったよ。
空汰:(笑顔で)いいえ、どういたしまして
蒼夜:あ、バースデーケーキ買い忘れてた。
空汰:ええ!?誕生日なのに!?
蒼夜:ごめん、一人で買ってから帰るから。
空汰は先に帰っていいよ。
空汰:そっか、わかった。
じゃあ、また明日ねー!
蒼夜:うん、今日はありがとう!
空汰:うん、バイバーイ!
(場面:蒼夜のマンション廊下)
蒼夜:(嬉しそうにプレゼントを抱えながら)
ふふ、陽菜のやつ喜んでくれるかなぁ〜
(部屋のドアを開ける)
蒼夜:(明るく)ただいまー…陽菜ー?
(不思議そうに)あれ…いないのかな…?陽菜ー?
(濡れたものを踏んで驚く)
……うわっ…なにこれ……血……?
(辺りを見まわしながら陽菜を探す)
陽菜…?
(部屋の片隅に血まみれの陽菜を見つける)
陽菜!あ…あああ……!
(息のむ)ひ…な…?
(絶叫)陽菜?!陽菜ッ!!!
(困惑/絶叫)なんなんだよ…なんで…陽菜がッ…!!
クソッ!!!!
(場面:陽菜のお葬式)
蒼夜:(すすり泣きながら陽菜の遺影を抱く)
……ひな………陽菜……
空汰:(声かけづらそうに)
……蒼夜…
蒼夜:(すすり泣き声)………
空汰:……あのさ…大丈夫…?
お通夜の時から一睡もしてないよね…
それにご飯も…ほとんど食べてないし…
少し休んだ方が…
蒼夜:(遮って怒り気味)大丈夫なわけないだろ!?
陽菜が…陽菜が殺されたんだぞ!?
空汰:……ごめん……
蒼夜:(殺してやるを呟く)………してやる……
空汰:えっ?
蒼夜:(静かに)殺してやる…(強く)殺してやるッ!!
陽菜を殺した奴を見つけ出して、絶対に殺してやるッ!
空汰:蒼夜…?
蒼夜:(荒々しく)止めても無駄だからなッ!絶対に復讐してやるッ!
そのためなら誰が死のうが構わないッ!
邪魔しようっていうなら、空汰ッ!…お前だって例外じゃないッ!
空汰:蒼夜…ボクは復讐を止めたりなんてしないよッ
蒼夜はどう思ってくれてるかわからないけど、
ボクは蒼夜のことを親友だって思ってる…
それに蒼夜の気持ちがわかるから…協力したいんだ。
蒼夜:(冷静になる)…空汰……ごめん……
空汰:ううん、いいよ。蒼夜の気持ちはわかってるって言ったでしょ?
…ねぇ、犯人に心当たりはあるの…?
蒼夜:いや……
でも、陽菜の服に付いていたこの銀髪…
明らかに陽菜のものでも、俺たちの知ってる誰のものでもない…
空汰:(息をのむ)……ッ……その銀髪……ッ
蒼夜:(身を乗り出す感じ)何か知ってるのか?!
空汰:前に話したと思うんだけど、蒼夜は覚えてるかな?
ボクの両親は殺されたって……
蒼夜:ああ……
空汰:…ボク…その時ね、実は両親が殺されるところを見ちゃったんだ…
顔は見えなかったんだけど、その時の犯人が…銀髪だったんだ…
蒼夜:え……
空汰:調べてみないとわからないけど…
あの時の刑事さんにその銀髪を調べてもらえないか聞いてみようか
蒼夜:…わかった、これは空汰に預けておくよ…
(場面:1年後の蒼夜の部屋)
蒼夜:(うなされている)
……ひ…な………陽菜……
空汰:(慌てて起こす)蒼夜!蒼夜ってば!!
蒼夜:……ん……んん……
…空汰……
空汰:(心配そうに)大丈夫?
なんかうなされてたみたいだけど…
蒼夜:(具合悪そうに)ああ、大丈夫だ…
空汰:(心配そうに)もしかして、またあの時の夢でも見たの…?
蒼夜:……ああ。
空汰:(静かに)…あの事件から1年かぁ…
蒼夜:(呆然と)…1年…、
(冷静に)…時間だけがどんどん過ぎてくってのに、
(悔しい)何の情報も得られないなんて…ッ!
空汰:(困惑、ためらい)
あの日、陽菜ちゃんの服についていた銀髪から
殺し屋のネロってことは調べはついたんだけど…
蒼夜:(悔しそうに)でも、奴は依頼をしなきゃ姿を現さない……
そんな奴、どうやって見つけ出せばいいんだよッ!
空汰:(少し間をおいて)……方法はあるよ。
蒼夜:(驚く)えっ…?
空汰:ネロに殺人を依頼すればいい。
そうすれば、奴は必ず姿を現す。
(少し間をおいて)
…今日はこれを渡すために来たんだ。
蒼夜:…ん…これは…?
空汰:情報屋の森野さんからもらった…ネロの連絡先…
それと…これ…
蒼夜:…拳銃…?
空汰:さすがに弾は一発しか手に入れられなかったけどね。
蒼夜:(静かに呟く)……空汰……ありがとう…
(穏やかに)復讐のことも反対せず俺を受け入れてくれた。
それどころか協力してくれて…
空汰:クス、お礼なんていいよ。
蒼夜の気持ちはボクが一番わかってるんだから。
蒼夜:陽菜のためにも、空汰の両親のためにも。
必ず復讐を遂げよう。
空汰:(意気込み)うん、ボクにできることがあったら協力するよ。
だって、ボクたちは一番の親友なんだから。
蒼夜:…ありがとう
(ちょい心配そうに)ってお前時間大丈夫か?
空汰:え?うわぁーもうこんな時間?!
ごめん、バイト遅刻するから今日は帰るね!
蒼夜:あ、おい…ったく、あいつは…
(しばらく間をおく)
蒼夜:これでッ…!これでついに…ッ!
ついに陽菜の復讐が果たせる…くふふ…!
ネロに殺人の依頼をしておびき出すのはいいとして
いったい、ネロに誰を殺させる……?
(考え込む間)…………
…誰でもいいとは思ったけど、赤の他人じゃ行動が読みにくいし、
ネロなら俺が近くにいることを不自然に思うに違いない…
(考え込む感じ)
…行動が読めて、近くにいても自然な奴…
あぁ…そうだ、あいつがいるじゃないか…空汰が…
ふふふ…協力してもらおうじゃないか、復讐のためにな…
くはははは!
(場面:空汰のバイト先)
蒼夜:(静かに見守る)
今日が…実行日…
空汰の後をつけていけば…ネロは現れる…
(気づいたふうに)
っと…やっと出てきたか…
空汰:お疲れ様でしたー!
朱里:あ!空汰くん、お疲れ様。
最近、調子どう?
空汰:あれ、朱里さん…
社員はみんな本社じゃなかったんですか?
朱里:ちょうど今戻ってきたところよ。
堅苦しい会議なんてもううんざり…
やっぱり、自分の店舗が一番よねぇ
空汰:今日は特に忙しかったんですよ!
朱里さんがいない分、ボクがフォローしたんですからね。
朱里:さっすが〜、できる男は違うわねぇ
空汰:褒めるぐらいなら給料あげてくださいよ〜!
朱里:うふふ、考えておくわ。
ところで、空汰くん。今から時間あるかしら?
空汰:はい…大丈夫ですけど…
朱里:(安心して)そう、よかった。
じゃあ、ちょっと一緒に付き合ってほしいところがあるの。
空汰:え?ここじゃダメなんですか?
朱里:ここじゃ息抜きなんてできないでしょ?
空汰:そうですね、わかりました
それで…どこにいくんですか?
朱里:うふふ、ついてくればわかるわ
(場面:廃れた展望公園)
朱里:ついたわ、ここよ。
空汰:だいぶ歩きましたね…
朱里:ごめんね、こんなところまで連れ出しちゃって…
空汰:いいですよ、それよりここに何があるんですか?
見たとこ普通の公園みたいですけど?
朱里:ついてきてほしい場所っていうのはこっち。
(町が一望できる場所に移動する)
朱里:……ここよ、見てみて
空汰:ん…うわぁ!凄い!綺麗な眺めですねー!
朱里:この展望公園、やっぱり町から離れてるせいか
今はこんなに廃れちゃって…
ここができたばかりの頃はとってもにぎわっていたのよ。
でも、今でも変わらないのはこの夕陽だけ。
とっても綺麗でしょ?
空汰:そうですねー!
(背伸びをする)んーっ!風もほんっと気持ちいいですね!
朱里:(色っぽく)そう、喜んでもらえて嬉しいわ。
空汰:ところで用事って…
(銃を突きつけられる音)
空汰:え!?朱里…さん…?
朱里:…クスッ……
空汰:ボクの頭に近づけてるのは……
朱里:決まってるじゃない、銃よ。
空汰:え…銃って…なんでそんなもの持ってるんですか?
(ひきつった笑いで)冗談ですよね…?
朱里:冗談かどうか空汰くんの頭で試してあげましょうか?
空汰:えっ!?
朱里:動くんじゃないよ!!
前を向いてな。
空汰:……ッ!
朱里:ふふ…何も知らずに死ぬのもかわいそうだから教えてあげるわ
空汰:え……
朱里:私がネロよ。依頼があったの、あなたを殺せって、うふ
空汰:ッ!?…まさか…
朱里:そう、あなたのお友達からよ
確か名前は蒼夜くんだったかしら、うふふ
空汰:そんな……蒼夜が…ボクを殺すように…依頼したの…?
朱里:あなた、お友達に相当嫌われているようね、それも殺してやりたいほど…
空汰:…そんなことない…ッ!
蒼夜は…蒼夜はボクの一番の親友なんだっ!
そんなことするはずがない!
朱里:残念だけど、依頼があったのは事実よ?
なんなら、聞いてみる?
空汰:な、何を…?
朱里:最近の携帯電話は便利よねぇ…通話中の音声を録音できるんだから…
ちゃんと残してあるわよ。
空汰:…ッ!嘘だっ!!
蒼夜が……ボクを裏切った…?
朱里:理由はなんにせよ、あなたは必要ないんだそうよ?
(バカにする)むしろ、邪魔者なんじゃないかしら?
まぁ、私にはどうでもいいことだけど。
恨むなら、彼を恨むのね……
(再度、銃を突きつけなおす音)
空汰:…ッ!
朱里:それじゃあ…さようなら…
(銃声)
空汰:ッ!?
朱里:…ッ!……だ…れ…ッ
森野:まったく…手間かけさせやがって…
空汰:…ッ!?森野さん!
た、助けてくれて…ありがとう…ございました
森野:はぁ?何勘違いしてんだ?
この女は俺の名前を語って、勝手に人の依頼を奪ってやがったんだ。
他人様の仕事を横から掻っ攫うなんて、無礼にも程があるだろ?
丁度アンタがネロに依頼をしたいなんていうからさー
この機会に始末してやろうって思ってなぁ。
だから、無償で連絡先を渡してやったんだろー?くふふ
空汰:森野さん?…どういうことですか…?
森野:あは…まだ気づかない?
あーごめんごめん、俺カツラかぶってるんだ。
空汰:…ッ!その銀髪…ッ!
森野:そう、俺が本物のネロだよ
アンタには礼を言うぜ?
おかげでこいつが釣れたんだからな
空汰:そんな……森野さんはボクを利用してたの?!
しかも、ネロだったなんて……
森野:おいおい、忘れたのかよ?
俺は、アンタの両親を殺した張本人だぜ?
こーんなに目立つような頭で居るのに、
お前の記憶の中での俺は一体どんな格好なんだろうなぁ?
それとも、友達の復讐に茶々入れんのが
楽しくて自分の仇誰か忘れちゃってた、とかー?
空汰:(悔しそうに)……ッ
森野:自分が助けようとした友達に裏切られてすごーく惨めだな、あー傑作。あはは
アンタからすればとんだとばっちりだろうケド、
顔知られた以上、俺に殺されても文句は言えねぇよなぁ?
(無感情な声で)お前、俺の玩具になってよ?
空汰:えっ!
蒼夜:(勢いよく)死ぬのはお前のほうだ!
(銃を突きつける音)
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第二部
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