星に願いを〜七夕〜

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■ジャンル
 ラブストーリー

■男女比率
 1:1:0(♂:♀:不)

■所要時間
 約20分

■あらすじ
 7年前に訪れた町で恋に落ちた彦織。
 何かに誘われたかのようにまたその町にやってきた。
 そこで風鈴の音色を聞き海へと導かれるとそこには少女がいた…。

■登場人物
 彦織(ひろき):♂
  仕事も落ち着いていたある日何かに誘われるかのように
  昔悲恋をした町に7年後にやってきた男性。
 星姫(せいら):♀
  浜辺にいた謎の少女。

■声劇コピー用
 星姫:♀:
 彦織:♂:

■声劇用扉絵
 生放送では生写真を使用していたので、掲載しないことにしました。

■その他
 特になし
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彦織:この海を眺めるのは何年ぶりだろう…数年前、俺はここに一度訪れていた。
   そこで恋に落ちた…でも、彼女は…消えてしまったんだ。
   それ以来、この町には訪れていなかった。
   記憶の隅に追いやっていたはずなのに、
   風鈴の音色を聞いた瞬間あの頃を思い出して、
   気づいたら俺はまたこの町にきていた。

(場面:真夜中の町の宿)

彦織:…ん……んん……
   ……ん…ふわぁ……
   …風…なんてないのに…
   なんで風鈴が…(背伸び)
   ……目が覚めちゃったな…

(場面:浜辺)

彦織:綺麗な月だな……
   それに天の川も綺麗にかかってる…

彦織:ん…?あんなとこに女の子が…何してるんだ…
   ねぇ、そこの君!

星姫:……?

彦織:こんな時間に海で遊んでていいの?
   おうちの人心配するよ。

星姫:ううん、私は大丈夫だよ。

彦織:え?

星姫:ここで…ここで毎年この日は待ってるから

彦織:待ってる…?

星姫:ねぇ、お兄さん。

彦織:ん?

星姫:お兄さんは七夕のお話知ってる?

彦織:あまり詳しくはないけど…
   彦星と織姫が天の川で隔てて1年に一度七夕の日。
   つまり、今日会えるって話だろ?

星姫:うん、物語はたくさんあるけど、この町にも七夕の話があるんだよ。

彦織:そうなんだ。どんな話?
   よかったら聞かせてほしいな。

星姫:うん、いいよ。
   地上に住む彦星は牛使いとして働き者で
   天界に住む織姫もまた機織りを一生懸命する働き者だったの。
   ある日織姫が地上に降りた時に彦星と出会って恋に落ちた。
   だけど、仲が良くなりすぎて、困ったことが起きたんだ。

彦織:困ったこと?

星姫:うん、あれ程機を織るのが好きだった織姫が機には見向きもしなくなって、
   彦星もまた牛を牽いて田畑を耕すことをしなくなってしまったの。
   それを見守っていた天界の天帝はそんな2人を見て怒った。
   そして、織姫を天界に連れて帰ったの。
   でも、毎日悲しむ2人を見てかわいそうに思った天帝は、
   1年に1度7月7日に会うことを許してあげたんだ。

彦織:それで1年に1度会えるようになったんだね。

星姫:ううん、この話には続きがあるんだ。

彦織:え、どんな…?

星姫:1年に1度また会えると思って…
   彦星は7月7日にこの海で織姫が来るのを今か今かと待っていたんだ。
   だけど、7月7日なっても織姫はやってこなかった。
   朝になって、夜になって、翌日になっても織姫はやってくることはなかったの。

彦織:え……どうして……?

星姫:何日経っても織姫が来ることはなかった。
   どうして会いにきてくれないんだ、あの約束はどうなったんだ、
   そう思いながら嘆き悲しんだ彦星の涙は海の水を塩辛くした。
   そして、2年目の7月7日、また彦星は海辺に出て織姫を待っていた。
   でも、織姫はやってくることはなかった。
   3年目の7月7日も、4年目の7月7日も……

彦織:………

星姫:お兄さんは…織姫は来てくれると思う?

彦織:……どうかな…

星姫:…覚えてない?
   お兄さんは知ってるはずだよ…

彦織:え?

星姫:この町に来たことあるよね…
   忘れちゃったの…?

彦織:…ごめん…知らないな…

星姫:…本当に?

彦織:………

星姫:…思い出して…

彦織:知らないって言ってるだろ!

星姫:…そう…だよね…

彦織:あ……

(走る去る少女を追いつく)

彦織:はぁはぁ……

星姫:…なんで追いかけてきたの?

彦織:………ごめん、思い出したく…なかったんだ…
   確かに前にこの町にきたことがある。
   でも…俺にとって、それは辛い思い出なんだ…

星姫:……辛い思い出…

彦織:……うん…
   あの時、俺は仕事がうまくいかなくて挫折して、
   1週間ぐらい旅行でこの町にきてたんだ。
   そこである女性を好きになった。
   彼女と2人で過ごした1週間は凄く充実な日々だった。

星姫:その人はどうしたの…?

彦織:……俺をおいて消えてしまったよ。

星姫:…消えた…?

彦織:うん、彼女もまたここにきた理由があったんだ。
   彼女は病気でね、もう生きられないって宣告されたらしいんだ。
   それでこの町で亡くなった。
   なんで君にこんなこと話してるんだろうね。
   ごめんね。

星姫:……お兄さん…ごめんね。

彦織:え?

星姫:今でもこんなに私は悲しい想いさせてたんだね。
   それなのに…私はただ会いたくて…

彦織:え…私ってどういうこと…?
   もしかして……

星姫:……うん…………私が星姫。

彦織:え……

星姫:ごめんね、彦織…

彦織:…星姫…?本当に星姫なのか…?

星姫:うん

彦織:星姫……生きてたのか……?

星姫:……ううん……ねぇ、彦織。

彦織:…え?

星姫:……さっきの七夕の話の続き。
   織姫は…会いにきたと思う…?

彦織:…星姫…うん、会いにきたと思うよ
   続きを…聞かせてくれる…?

星姫:うん。何年もの月日が流れても織姫は彦星の所にやってくることはなかったの。
   だけど、7年目の7月7日、彦星はまた織姫が来るのを海で待ってたんだ。
   そして……ついに星の船に乗り織姫がやってきた。
   どうして今まで織姫は来てくれなかったのか。
   それは天界での1年が地上での7年だったの。
   7年に1度、それではかわいそうだと思った天帝は彦星を天界に迎えいれたの。
   こうして、今も織姫星、彦星として天の川のほとりで輝き続けているの。

彦織:……七夕の話にはそんな話があったんだね。

星姫:うん…そして、今日は…7年目の7月7日。

彦織:……あ……

星姫:最初はただ会いたくて待っているだけだった。
   だけど、こんなにも私は彦織のことを悲しませていたんだね。
   ごめんなさい…

彦織:星姫…そんなことないよ。
   俺だって星姫に会いたかった…

星姫:彦織…

彦織:だから、ずっと忘れられなくて…
   風鈴の音色を聞いて…星姫のことを思い出して…
   それで…この町にきたんだ

星姫:彦織…来てくれて…ありがとう。
   でも……もうすぐ…七夕が終わる…
   そしたら、私は……

彦織:え……

星姫:…ごめんなさい…
   彦織を傷つけるってわかってたけど…
   もう一度だけ会いたくて…

彦織:そんなことないよ…
   星姫だって俺のことをずっとこの海で待っていてくれてたんだろ…

星姫:え…?

彦織:…7年か…長い事待たせていたんだな…
   淋しい想いさせてごめんな…

星姫:彦織……

彦織:星姫のことが忘れられなくて…それが辛かった…
   だけど、今日会えて本当によかった。

星姫:え…?

彦織:7年前に言えなかった言葉…君に伝えたかったから
   「ありがとう」
   これだけが心残りだったんだ

星姫:彦織…

彦織:辛い思い出なんて言って…ごめんな。

星姫:…ありがとう…
   私も会えて嬉しかったよ…
   …彦織…今度こそお別れだよ
   ……………さようなら

彦織:あ……星姫……
   星姫がいなくなったことは辛いけど……
   愛してくれてありがとう…
   綺麗に輝いているな…織姫星も彦星も…
   例え1年に1度しか会えなくても…
   きっと2人は幸せなんだろうな…

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後書き。

ゆうきです!
七夕ということで慌てて作った台本のため、荒いです、すみません…
制作期間まさかの1日です…ほんとすみません…
七夕伝説や羽衣伝説等似てるようで違ったりこの物語が正しいというのがなかったので、
勝手に七夕伝説を作り上げてしまいました←w
雑な作りで申し訳ありませんが、楽しんでいただければ幸いです♪

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